「もうすぐ引越すんだ」
彼は言った
平らなところで足を取られたような無防備さで
心はバランスを崩した
手を伸ばしたら届きそうな距離で
そこにいた人
夢が覚めようとしていた
ずっと渡したいものがあった
忘れられて静かになった場所をみつけて
そっと それを置いてみた
まるで何かの 儀式のように
ひとつひとつ慎重に
彼の景色になったそれを想像してみる
「まさかね」
麦茶を一口飲んだ
冷たい液体は
熱くなった胸を冷やし
腹の中に落ちて
私の一部になった
伝えたかった言葉が
光る画面の中で
嬉しそうに並んでいた
最後までお読み下さり
ありがとうございました゚゚(*˘︶˘*).。.:*♡