・・・というはなし。

ひびこれよきひ

その1  コメント

「もうすぐ引越すんだ」

彼は言った

 

平らなところで足を取られたような無防備さで
心はバランスを崩した


手を伸ばしたら届きそうな距離で
そこにいた人
夢が覚めようとしていた

 

ずっと渡したいものがあった

 

忘れられて静かになった場所をみつけて
そっと それを置いてみた
まるで何かの 儀式のように
ひとつひとつ慎重に

 

彼の景色になったそれを想像してみる

 

「まさかね」
麦茶を一口飲んだ
冷たい液体は
熱くなった胸を冷やし
腹の中に落ちて
私の一部になった

 

伝えたかった言葉が
光る画面の中で
嬉しそうに並んでいた


(c) .foto project

 

 

 

 

最後までお読み下さり

           ありがとうございました゚゚(*˘︶˘*).。.:*♡